学問の神様の子孫 菅原孝標女

当時、女性作家は本名を出さない。菅原孝標女は家の名前を使った。紫式部、清少納言も本名ではない。菅原孝標は学問の神様、菅原道真(すがわらみちざね)から5代目である。新年にはたくさんの受験生が合格祈願の参拝にくる天神様である。孝標女は6代目となる。
平安時代の女性には正式な名前がなかったのかと思う。飛鳥奈良時代大化の改新で天皇中心の中央集権国家がつくられ、公地公民となり、正確な戸籍がつくられた。農民には男子2反、女子にはその三分の二の土地があたえられた。今でもその戸籍の一部が残ってるそうであるが、女子にも名前があった。平安時代の貴族の女性には名前が無かったのか。疑問である。しかも、生年も没年も不明、更級日記のように一人の女性について40年間の生活がわかるのは貴重である。とくに、父母、兄姉を取り巻く知人との関係が描かれ現在のホームドラマのようで平安時代の古典を取り組む入門書として最適である。

菅原道真について
代々文学者、文章博士の家系で、政治の世界には向かないようである。しかし、59代宇多天皇の信頼が厚く、右大臣にとりたてられた。藤原氏一門が勢力を強めていたので、道真の才能、役職をねたんだり嫉妬恨みを持たれた。
 宇多天皇が上皇、出家するにあたり、後ろ盾を失い、大宰府に左遍を命じられる。大宰府では付き人も与えられず、質素な住まいであった。
    東風(こち)吹かば においおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春をわすれじ
59歳で死去、都では有力者の死去が続き、宮殿への落雷などがあり、人々は道真の怨霊と恐れる。道真の霊魂を鎮めるため、天満宮を建立。人々は神様として、厚くうやまった。

源氏物語と更級日記とは関係が深い。
源氏物語は今でもドラマ、文学、映画に取り上げられる。現在放送中の朝ドラらんまん、植物分類学者牧野富太郎がモデルで、視聴率トップである。6月13日見ていた。ドラマでは万太郎と呼ばれている。東大の空き地にヒルガオ・ユウガオが咲いている。その花を見ているとき、教授が通り掛かり、何をしてるのだ。万太郎ヒルガオの花がいつ閉じるのか、ユウガオの花がいつ開くのか、見てます。すかさず、教授の質問アサガオ・ヒルガオ・ユウガオのうち、一つだけ種類の違うものがある。わかるか。万太郎すかさず、ハイ、アサガオとヒルガオはイモ科です。ユウガオはウリ科です。教授、自分は日本文学が好きだ。特に源氏物語が好きだ。中でもユウガオが大好きだ。万太郎、私は万葉集が好きだ。何も話しを合わせて取り入ろうとするな。立ち去りながらアサガオほ句を言う、上の句が終わったところで、すかさず、万太郎下の句をいう。東大へ通わせて欲しいと言う万太郎の願いに反対していた教授と距離が縮まったと思わた場面である。

横道にそれ、更級日記がなかなか進まないが源氏物語のユウガオにも触れたい。更級日記の中で作者は夕顔や浮舟のようになりたいという夢を持ちます。
源氏物語は54帖からなる長編小説、作者は紫式部です。その中の4帖目が夕顔の巻です。光源氏が乳母の病気見舞いに出向いたとき、隣の家の垣根いっぱいに白い花が咲いていた。従者にあれは何という花かと尋ねるがわからないという。その花を取ってくるように従者に伝える。すると、小さな女の子が出てきて、扇を差し出します。ここに、花をのせて、渡してください。あとで、その扇を見ると歌が書いてありました。その扇には使った人の香りがただよい、美しい筆跡で。
    心あてにそれかとぞ見る白露の光そえたる夕顔の花
その女性に興味を持った光源氏は忠実な従者、推光に取り入る手順をとらせ、女性の家にかようようになる。その後、静かな場所に行きましょうと夕顔を誘い出します。元々光源氏の別宅で、今は留守居役だけです。広く古い邸宅です。
ここで夜中、暗闇の中、もののけが現れ夕顔を恐怖に陥れる。気が付くと夕顔がすでに息をしなかった。ただ一人ついて来た右近は恐怖にガタガタ震えていた。夜明け方推光が来る。夕顔をひそかに山寺に運ばせ、葬儀を丁重に行う。右近は自分が召し抱え、夕顔の死を秘密にする。心優しい美女の突然の死をたくさんの読者の心を引き付ける。
紫式部のすごい所は夕顔は消えますが幼い幼女、玉鬘(たまかずら)を残してることです。玉鬘は母親の行方と自分の父親は誰かを探し求め、光る源氏との運命の出会いを描いていきます。

京都市に夕顔町があります。Googleの地図で検索すると出てきます。フィクションですが、夕顔の墳という石柱が出てきます。毎年、町の人々が命日を決め盛大に集まられるそうです。
   くらやみに きえし姫君 しのばれる 京の町に いまもいきるる
とか、歌によまれてるそうです。作者は知りません。
 ・ユウガオ かんぴょうのことです。当時、野菜として食用にされたのですね。今も巻きずしの具として使われます。勢力の強い野菜です。スイカの苗の台に使われるつぎ木苗です。偶然植えたことが有ります。スイカのツルがでてきたのですが、根本から別のツルが出てきたのです。これが見てるまに畑一面に広がり、楕円形の大きな実を沢山つけたのです。勿論スイカは収穫は出来ませんでした。


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